厳選した原材料のみを使用
本みりん「九重櫻」の原材料は、もち米、米こうじ、米焼酎といたってシンプルです。そのため、原材料の良し悪しができあがりの味を大きく左右するため、素材選びに妥協は許されません。
とりわけ、甘みの質に影響を与えるのが、もち米です。九重味淋では、本みりんの風味の特色であるもち米由来の豊かな甘味にこだわり、良質のもち米を使用しています。
伝統の搾り機、使い続ける理由
2ケ月程、糖化熟成させたもろみは、昔ながらの伝統的な「佐瀬式圧搾機」で搾り、本みりんとみりん粕に分けます。
「佐瀬式」は、もろみを酒袋に詰めて、「漕(ふね)」の中に積み上げるようにして並べ、じっくりと時間をかけて搾る方法です。はじめはもろみ自身の重みだけで、みりんがじんわりしみだすのを待ちます。その後上から徐々に圧力を加え、2日間かけてもろみが味噌ぐらいの柔らかさになるまで搾ります。
最初から一気に圧力を加えて搾る機械も多いのですが、急いで搾ってはよい味が生まれません。
九重味淋では、芳醇な甘みを待ち望みながら、昔も今もゆっくりじっくり搾っています。
変わりゆく時代、変えない味
九重味淋は、創始者・石川八郎右衛門信敦がみりん製造を手がけて以来250余年以上、「変えない」ことを信条にしてまいりました。
元祖三河みりんへのご信頼は厚く、老舗をはじめとする数々のご愛顧先のご要望に応え、名店の味を守ることが、私たちの大切な使命と考えるからです。
工業化、情報化が進み、大量生産が主流となった今。時代が進む速度に合わせて「変える」ことが当たり前の世の中ですが、効率ばかりを追っていては、よい味はできません。
時間をかけて、こうじを働かせ、もろみを淋らせ、みりんをねかせる。その先にしか、本物の味わいは生まれないと私たちは考えています。
本物をつくり続けることが、私たちの仕事です。一人ひとりが、先代から受け継いだ味を「変えない」よう、今日も一心不乱にみりんづくりに励んでいます。